順序集合(ordered set)の話

 集合$A$に、次のような条件(順序の公理と呼ばれる)を満たす二項関係$\le$が定まっている時、対$(A,\le)$のことを半順序集合(partially ordered set)という。
  1. 反射律:  任意の元$a$について$a\le a$
  2. 推移律:  $a\le b$かつ$b\le c$ならば$a\le c$ ←要するに、三竦みが無いってこと!
  3. 反対称律: $a\le b$かつ$b\le a$ならば$a=b$
 順序集合$(A,\le)$が更に次の条件を満たすとき、$(A,\le)$のことを全順序集合(totally ordered set)という。
  1. 完全律:  $A$の任意の元$a,\ b$について$a\le b$か$b\le a$のどちらかが成り立つ

ハッセ線図(Hasse diagram)

 順序集合$(A,\le)$は、 のようにして図式化できる。
$S=\{1,\ 2,\ 3,\ 4,\ 5,\ 6\}$、 $m|n$を「$m$が$n$の約数である」という関係であるとするとき、
$(S,\ |)$は半順序集合となり、以下の様にハッセ線図で表すことができる。

上限、下限、その他

 順序集合の空でない部分集合$A$について...
  • 上界(upper bound)
    $A$の任意の元$a$に対して$a\le b$が成り立つような$b$のなす集合
    上界が空でないとき、集合$A$は上に有界であるという。
  • 下界(lower bound)
    $A$の任意の元$a$に対して$b\le a$が成り立つような$b$のなす集合
    下界が空でないとき、集合$A$は下に有界であるという。
  • 有界(bounded)
    上にも下にも有界なとき、集合$A$は有界であるという。
  • 極大元(maximal element)
    $A$のある元$s$に対して、$s\le a$となる$A$の元$a$が常に$s=a$となるときの$s$
  • 極小元(minimal element)
    $A$のある元$s$に対して、$a\le s$となる$A$の元$a$が常に$s=a$となるときの$s$
  • 最大元(maximum element)
    $A$のある元$m$が任意の$A$の元$a$に対して$a\le m$を満たすときの$m$
  • 最小元(minimum element)
    $A$のある元$m$が任意の$A$の元$a$に対して$m\le a$を満たすときの$m$
 最大元や最小元は高々一つしかない。 最大元は極大元になるが、この逆は正しくない。  $A$が最大元$M$を持てば、$M$は$A$の上限になる。 また、$A$が最小元$m$を持てば、$m$は$A$の下限になる。

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