集合$A$に、次のような条件(順序の公理と呼ばれる)を満たす二項関係$\le$が定まっている時、対$(A,\le)$のことを
半順序集合(partially ordered set)という。
- 反射律: 任意の元$a$について$a\le a$
- 推移律: $a\le b$かつ$b\le c$ならば$a\le c$ ←要するに、三竦みが無いってこと!
- 反対称律: $a\le b$かつ$b\le a$ならば$a=b$
順序集合$(A,\le)$が更に次の条件を満たすとき、$(A,\le)$のことを
全順序集合(totally ordered set)という。
- 完全律: $A$の任意の元$a,\ b$について$a\le b$か$b\le a$のどちらかが成り立つ
ハッセ線図(Hasse diagram)
順序集合$(A,\le)$は、
- $A$の各要素に対し、$xy$座標の定められた平面上に点$P_a$をとる。
- $A$の異なる要素には平面上の異なる点をとるものとする。
- $a\le b$ならば、$P_a$の$y$座標より$P_b$の$y$座標を大きくなるようにしておく。
- $a\le b$であり、$a\le c$かつ$c\le b$なる$c\in A$が存在しないとき、$P_a$と$P_b$を線分で結ぶ。
のようにして図式化できる。
例
$S=\{1,\ 2,\ 3,\ 4,\ 5,\ 6\}$、
$m|n$を「$m$が$n$の約数である」という関係であるとするとき、
$(S,\ |)$は半順序集合となり、以下の様にハッセ線図で表すことができる。
上限、下限、その他
順序集合の空でない部分集合$A$について...
- 上界(upper bound)
$A$の任意の元$a$に対して$a\le b$が成り立つような$b$のなす集合
上界が空でないとき、集合$A$は上に有界であるという。
- 下界(lower bound)
$A$の任意の元$a$に対して$b\le a$が成り立つような$b$のなす集合
下界が空でないとき、集合$A$は下に有界であるという。
- 有界(bounded)
上にも下にも有界なとき、集合$A$は有界であるという。
- 極大元(maximal element)
$A$のある元$s$に対して、$s\le a$となる$A$の元$a$が常に$s=a$となるときの$s$
- 極小元(minimal element)
$A$のある元$s$に対して、$a\le s$となる$A$の元$a$が常に$s=a$となるときの$s$
- 最大元(maximum element)
$A$のある元$m$が任意の$A$の元$a$に対して$a\le m$を満たすときの$m$
- 最小元(minimum element)
$A$のある元$m$が任意の$A$の元$a$に対して$m\le a$を満たすときの$m$
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最大元や最小元は高々一つしかない。
最大元は極大元になるが、この逆は正しくない。
- 上限(最小上界)(least upper bound, supremum)
上界の最小元のこと。$\sup(A)$と書く。
- 下限(最大下界)(greatest lower bound, infimum)
下界の最大元のこと。$\inf(A)$と書く。
$A$が最大元$M$を持てば、$M$は$A$の上限になる。
また、$A$が最小元$m$を持てば、$m$は$A$の下限になる。